ターゲットを絞ると売れなくなると思っていませんか


女性起業家がターゲット設計を考えながらノートを書いている様子
目次

その不安、ほぼ全員が持っています

「ターゲットを絞りましょう」とアドバイスされたとき、多くの女性起業家が感じるのは「絞ったら来る人が減るんじゃないか」という不安です。

これはほぼ全員が通る感覚です。でも実際に絞った後に「売れなくなった」という人に、私はほとんど会ったことがありません。むしろ逆のことが起きます。

なぜ絞るほど売れやすくなるのか。その構造を説明します。


「誰にでも届く言葉」は存在しない

P&Gをはじめとするグローバルの消費財ブランドが、マーケティングの根本に置いているのは「Consumer is Boss(消費者が主役)」という考え方です。自分が伝えたいことを発信するのではなく、消費者が何を必要としているかを起点に設計する。この原則はグローバル企業でも個人事業主でも変わりません。

そしてこの原則を突き詰めると、「誰にでも届く言葉はない」という結論に至ります。

たとえば「ビジネスを成功させたい方へ」という言葉と、「毎日SNSで発信しているのに、問い合わせが来なくて何が間違っているのかわからない女性起業家の方へ」という言葉を比べてみてください。前者は誰にでも当てはまりますが、誰の心にも深く刺さりません。後者は読む人を絞っていますが、当てはまる人には「これは私のことだ」という確信が生まれます。

消費者が購買を決める出発点は、「これは自分に関係ある話だ」という認識です。この認識が生まれない限り、どれだけ良いコンテンツでも読み飛ばされます。


ターゲットを絞ると「来る人が減る」は本当か

大手ブランドのマーケティングを長年見てきた中で気づいていることがあります。明確なターゲットを持つブランドは、ターゲット外の人にも買われます。

「30代の副業を始めたい女性向け」と打ち出したサービスが、40代の男性に購入されることは珍しくありません。「自分向けではないかもしれないが、この内容は自分にも使える」という判断が起きるからです。

逆に「全員向け」と打ち出したサービスは、誰も「自分のためのもの」と感じられないため、購買の動機が弱くなります。

ターゲットを絞ることで失うのは「なんとなく来る人」です。得るのは「本当に必要な人」です。後者はリピートし、口コミを生み、価格交渉をしてきません。ビジネスの安定には、この違いが大きく効いてきます。


絞れない本当の理由

ターゲットを絞ることで生まれる焦点と明確さを示すイラスト

ターゲットを絞れない理由のほとんどは、「誰のためのビジネスか」がまだ自分の中で決まっていないことにあります。

スキルはある。提供できることもある。でも「自分は誰の何を解決する人なのか」の答えが出ていないと、絞ることへの恐怖は消えません。なぜなら絞ること自体が問題なのではなく、「絞った先の自分」がまだ見えていないからです。

ここを整理するための問いが3つあります。

これまでで最も感謝された仕事は何でしたか。そのとき相手はどんな状況にいましたか。何が変わったと言っていましたか。

この3つの問いへの答えの中に、ターゲットの輪郭があります。感謝された経験は、自分が最も価値を提供できる文脈を示しています。


知識より難しいのは「自分への当てはめ」

ターゲットを絞る重要性は、多くの人が頭では理解しています。でも自分のビジネスに実際に当てはめるとなると、止まってしまうことがほとんどです。

「自分のケースだとどう絞ればいいか」「絞り方が合っているかどうか確認したい」「絞った後の言葉をどう作ればいいか」。これらは知識の問題ではなく、自分のビジネスの文脈を踏まえた設計の問題です。

一般論を理解した後に必要になるのは、それを自分の状況に落とし込む作業です。そしてその作業は、一人でやるより、外部の視点が入ったほうが圧倒的に早く進みます。

自分のビジネスへの当てはめ方を一緒に考えたい方は、お気軽にご相談ください。 → [お問い合わせはこちら](※実際のURLを入れてください)


執筆者:酒井みき|合同会社mirai代表。P&G・マッキンゼーほか国内外の大手ブランドでマーケティングと事業戦略に携わる。現在は女性向けマーケティングを専門とするコンサルティングを提供。「感性を構造化する」アプローチで、売れない原因を設計の前提から解決することを得意とする。

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次
閉じる